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囲いの崩し方


実戦では玉が囲いに収まっていることが多いです。 囲いの崩し方を知っていれば、終盤戦をうまく戦うことができ、 玉を詰まして勝つことができます。 ここでは、2大囲いの矢倉囲いと美濃囲いについて崩し方を紹介します。 実戦ではこれらの囲い崩しをうまく組み合わせて使うと効果的です。

矢倉囲いの崩し方

1.銀を引っ掛ける
2.角で43金を狙う
3.角と銀で31を狙う
4.桂で43金を狙う
5.歩頭に桂を打ち込む
6.桂の利きの33を歩で叩く
7.香と飛の二段ロケットで攻める
8.銀のダブル引っ掛け

美濃囲いの崩し方

1.角と銀で71を狙う
2.桂で金を狙う
3.歩をたらしてと金を作る
4.角で52金を狙う
5.角と桂でこびんを攻める
6.つなぎ桂で攻める
7.銀を捨てて、角で71を狙う
8.香を歩でつり上げて桂で狙う
9.歩で金を叩き、71角を狙う
10.71飛成から61歩成を狙う

矢倉囲いの崩し方

1.銀を引っ掛ける

矢倉囲いで一番重要な駒は、32の金です。 この金を取る(はがす)ことが囲い崩しで重要な点です。 金の弱点は斜め後ろですので、そこに斜めの利きのある銀を打ちます。 金に引っ掛ける感じです。 この図では82に飛がいますので、31に金を引いて逃げることはできません。 42に金を寄って逃げるか、42に43の金を引くか、33の銀を引くかするぐらいです。 この銀の引っ掛けが一番の基本になります。

銀を引っ掛ける図

2.角で43金を狙う

32の金の次に重要な駒は、43の金です。 この駒に狙いをつけて61角と打ちます。 43の金を角で取ることができれば、 82に飛がいるために32の金で取ることができません。 よって、61角に対しては43の金が逃げるか、 42に何か駒を持ってくる必要があります。

角で43金を狙う図

3.角と銀で31を狙う

この崩し方はあえて、守りの金、銀に触れない崩し方です。 31の地点は囲いの隙間とも言えます。 ここの地点を角と銀の協力によって攻めます。 やはり82に飛がいるため、32の金で31の銀を取ることができません。 受けるには42の地点にあらかじめ駒を打っておく必要があります。

角と銀で31を狙う図

4.桂で43金を狙う

これは5筋の歩がない時に非常に効果的です。 43の金を取れば32の金でやはり取り返すことができませんので、 55桂に対して43の金を逃げることになります。 あとは43に駒を打ち込んでいけば、自然と崩すことができます。 桂は相手に渡しても受けに使いづらい駒なので、 思い切って攻めることができます。

桂で43金を狙う図

5.歩頭に桂を打ち込む

24の地点は23の歩の前で、通常わざわざとられるところに、 駒は打たないのですが、この手は例外の一手です。 32の金を取られるわけにはいかないので、歩でとりますが、 さらに歩でとりかえして、次に23の地点に駒を打ち込みます。 持ち駒が特にたくさんある時に、効果的な囲い崩しの一手です。

歩頭に桂を打ち込む図

6.桂の利きの33を歩で叩く

矢倉の33の地点は、金と桂と玉の利きが集まる焦点です。 この地点を桂で狙い、銀をかわしたところに、 33歩と打ち込みます。32の金を取られるわけにいかないので、 桂で歩を取りますが、桂でとって、銀で取られたところで、 また25桂で打ちます。 ひたすら33の地点を桂と歩で狙うことで、 矢倉が崩れて行きます。

桂の利きの33を歩で叩く図

7.香と飛の二段ロケットで攻める

飛の前に香を置いて、飛と香で玉を直接狙います。 この縦からの攻めは受けが利きにくいです。 すぐに攻めると、23香と打たれて飛を取られてしまうので、 他の駒と協力して、最後にロケットを打ち上げるイメージで指すと効果的です。 局面によっては、先に歩を突いてから、香を打つこともあります。

香と飛の二段ロケットで攻める図

8.銀のダブル引っ掛け

1.の引っ掛け銀の応用です。 これは、飛がいなくても効果的です。 図で放置すると43の金を取って、32に金を打ち込む攻めがあります。 矢倉の要の金がなくなって、銀に変われば、 スムーズに寄せることができます。 41の銀、52の銀ともともに利きを持っているので、 すぐに取られてしまうこともありません。

銀のダブル引っ掛け図

美濃囲いの崩し方

1.角と銀で71を狙う

一番基本的な美濃囲いの崩し方です。 金銀に触らず、71銀と王手をかけます。 これを61の金で取ると、71角成と進み寄りになります。 この攻めは飛をおろして、角を打てば、いきなり71銀が狙えるという、 スピード感のある囲い崩しです。 5筋の開いている美濃囲いはこの筋に気をつける必要があり、 あらかじめ、角道を止める必要があります。

角と銀で71を狙う図

2.桂で金を狙う

美濃は二つの金がありますが、まずは外側の52金を狙うのが、 囲い崩しの基本となります。 52の金に連絡している61の金に影響を与えることができます。 また、桂で攻めているので相手に渡した時の、反動が軽いのが利点です。

桂で金を狙う図

3.歩をたらしてと金を作る

手持ちに桂や銀や角がなくても美濃囲いを攻略できます。 図のように43歩とたらすのが急所で、 42歩成となれば、非常に速い寄せになります。 たとえ、と金を作るのを防がれたとしても、 相手の陣形を乱す効果が期待できます。

歩をたらしてと金を作る図

4.角で52金を狙う

角で52の金を狙い、71銀の王手を狙います。 52の金がかわしたとしても、61の金まで角がにらんでいるので、 角が遊び駒になることはないです。 43歩と止められる手に対しては注意が必要です。

角で52金を狙う図

5.角と桂でこびんを攻める

角と桂がある時は、こっそり狙ってみたい手です。 囲いと無関係にいきなり王手がかかるので、 美濃囲いの玉は屋根裏から侵入された感じでしょうか。 角の利きのため、桂を取ることはできません。 これを予防するには、64の歩を突いておくことが挙げられます。 また、角を打たれたときにも、64歩とついて、角に歩を取らせて、 63金とあがり、74桂を先手で防ぐという守り方があります。

角と桂でこびんを攻める図

6.つなぎ桂で攻める

桂が2枚手に入った時には、ぜひ86桂と打ってみましょう。 このつなぎ桂(つぎ桂)は前述の角と桂の崩し方と同様に、 いきなり王手がかかるので、特に持ち駒が多いとき効果的になります。 86桂と打つだけで、次に玉を詰ますことができる場合も生じます。

つなぎ桂で攻める図

7.銀を捨てて、角で71を狙う

美濃囲いの52金がいないときに、囲いを崩すとしたら、 この62銀が一番の基本となります。 放置すると、61の金がとれますし、 この62の銀を金で取ると、71角と打たれて、 玉と金の両取りとなって囲いが崩壊します。 一段目に相手の飛がいて、相手の持ち駒が銀と角の時は、 あらかじめ受けておく必要があります。

銀を捨てて、角で71を狙う図

8.香を歩でつり上げて桂で狙う

桂が一枚あり、歩がたくさんある時は、 端攻めが効果的です。 端歩を突き捨てて、香を歩を打って94までつり上げて、 86桂と打てばOKです。次の94桂という手が王手になるため、 非常に速い攻めとなっています。 美濃囲い側としては、あえて最初の歩のつき捨てを 取らないという選択肢も考える必要があります。

香を歩でつり上げて桂で狙う図

9.歩で金を叩き、71角を狙う

7.の銀のかわりに歩で金を叩くのが、この崩し方です。 歩と角だけの攻めですが、なかなか厄介です。 もちろん歩を取ることはできませんし、 金をかわすと、72の銀との連絡が切れてしまい、 囲いが弱体化します。

歩で金を叩き、71角を狙う図

10.71飛成から61歩成を狙う

9.で金を寄った局面において、53角と打ったのが、この局面です。 何のこともないようですが、次に71飛成と切る手を見ています。 71飛成には玉で取るしかありませんが、 そこで61歩成とします。この時、61のと金と53の角の両王手となっています。 61玉とと金取ると、62金と打たれて詰んでしまいます。 61歩成に82玉と逃げても、71角成となられて寄りとなります。

71飛成から61歩成を狙う図

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